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せきをしてもゆとり

せきをしてひとりでも、だいじょうぶ。比較的長文になりがち。

Captain Fantasticを、家族の問題でやさぐれていたあの頃の私にみせたい。

この10月まで4ヶ月ほどカナダにいて、この週末に帰ってきた。と言っても、国外にいたのも、たかだか4ヶ月なので、懐かしさなどはそこまで感じない。でも、空港から実家までの電車でアナウンスがやたら流れっぱなしだったのを聞きながら、ああここは日本なんだなとぼんやりと思った。そして、日常ってこういう細かいことの寄せ集めなんだなと気づく。

個人的なジンクスで、飛行機の中で観る「重要な登場人物の誰かが死んでしまう映画」はすごく面白い、というのがあるのだけれども、今回のこの”Captain Fantastic”も例外に非ず。(ちなみに行きの飛行機で観たのは"Danish Girl"でこれもよかった。)


CAPTAIN FANTASTIC - Official Trailer - IN CINEMAS SEPT 8

アメリカの郊外大自然の中、隔絶された中で行きてきた父親+6人の物語。

この映画、大自然の中「賢く」「人間らしく」生き抜けるように教育してきた父親とその6人の子どもたちのお話。彼ら彼女らがお母さんの死をきっかけに「外の世界」と出会い、自分たちや社会について問いながら、彼女の夢を叶えてあげようとする、そんなお話です。

バイバルの技術に野性的な通過儀礼、読んで字の如く自らの手で行う狩り、夜は焚き火を囲んで読書に音楽、そして父親による知的問答。テクノロジーとも無縁で、孤立した自分たちだけのコミュニティーだけで生まれてから今までを育ってきた子どもたちは非常に常識離れしている。10歳の子供も法律(多分)について語っちゃったり、エスペラントで文句言いだしたりするほど賢くて、チョムスキーの誕生日を家族の特別な日にしてお祝いしたりしちゃうくらい変わり者たちで、鶏肉を「買う」ということを知らないくらい世間知らず。
そして何よりも、お互いを思いやっている。そんな家族のあり方を、ものすごく丁寧に描いた映画でした。

細部に日常が宿る感覚

そして私がこの映画ですごく気に入ったのが、この突飛なシチュエーションを細かい日常の描写の積み重ねでみせていて、すごくのめり込める感じがしたことだった。特殊な環境で育ったこの家族を自然に見せるための描き方ができないと、こういう当事者感を伴ったような感覚にはならないと思う。細部に日常が宿る感じ、これでもかと感じさせてくれるのはとてもビリビリした。(ちなみに監督はこの映画で、今年のカンヌのベストディレクターをとっている)

物語の描き方としても、ものすごくエレガントでよかった。
野性的な通過儀礼の描写から始まるのですがこの物語自体が家族にとっての通過儀礼になっていたり、お母さんの「死因」が双極性障害という設定だったりもするのも外/内の隔絶の象徴としてすごくいい。こういう細かい物語としての仕掛けが幾層にもなっているので、すごく説得力があるのですよね。だからこそ、最終的にこの家族の中にある深い愛情が浮かび上がってくる。

あとは、なんやかやで、隔絶されたコミュニティで生きていく家族の像って、今求められているものなのかもしれない。何もかもがSNSで繋がり合って、リアルタイムで情報が行き交う中で、敢えて自分が積極的に選択したものそれだけに囲まれて生きていけること、それは結構な贅沢なのかもしれない。多かれ少なかれ心のどこかで、そんな贅沢に憧れている人が多いからこそ、この映画も観られているのかもしれない。

うん、いい映画でした。

個人的には、思い上がりも甚だしかったあの頃の私に見せてあげたい。「子供は親を選べない」ということに関して結構疑問を感じていた、あの頃の私へ。

とは言え、英語の字幕もなく見てたので、会話の一部を理解できていないと思う。
もし日本語版がすでに出てたら改めて見たいな。